国指定天然記念物で絶滅危惧種の
イタセンパラがなぜ氷見に?
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イタセンパラの生息場所は全国で3箇所(淀川水系・濃尾平野・氷見)でしたが、淀川水系、濃尾平野では個体数が激減しており、絶滅に近い状態にあるといわれています。にもかかわらず、氷見市では万尾川において多くの個体の生息が確認されています。
なぜ氷見市で多くのイタセンパラが生息しているのでしょうか。その理由には、イタセンパラの生態と氷見の農業と地元の暮らしが大きくかかわっています。
氷見イタセンパラアクアツーリズムでは、イタセンパラの生態や生育環境の理解を通じて、氷見の農業や暮らしの豊かさを再認識することを目指した新しいツーリズムです。
ひみラボ水族館
イタセンパラ保護池
万尾川
十二町潟水郷公園
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コイ科タナゴ亜科タナゴ属の淡水魚
全長約 8cmの日本固有種
国指定の天然記念物
環境省レッドリスト「絶滅危惧 IA類」
「板(イタ)」のように平べったく、オスは秋の産卵期に鮮やかなピンクの婚姻色「鮮腹(センパラ)」から名付けられた
*無断で捕獲することはできませんのでご注意ください
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保護池で生まれたイタセンパラの稚魚の様子です。イシガイ科の二枚貝のなかで成長したイタセンパラは5月頃に貝から泳出します。
Q1:イタセンパラは
どこに卵を産むでしょう?
川底
二枚貝
正解 B の解説:9月~11月の産卵期にイシガイ科の二枚貝のなかに産卵します。
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万尾川の流れる上久津呂地区はお米づくりの盛んな集落です。春から夏にかけて万尾川は上久津呂地区の田んぼの用排水路として利用されています。万尾川には田んぼからイタセンパラのエサとなる動物プランクトンが豊富に流れだし、それを食べて成長していきます。
イタセンパラの産卵期となる秋には万尾川から田んぼに水を引く必要がなくなり、万尾川の水位は30cm程度となります。水深が浅くなることでサギや外来種の侵入を防ぐことができ、安全な産卵場所となります。
このように上久津呂地区の人びとの暮らしとお米づくりがイタセンパラの生育環境を守ってきたのです。
上久津呂地区は、およそ40軒170人が暮らす小さな農業集落です。
池田さんの記憶によれば、イタセンパラは昭和42年頃には万尾川に生息していたようです。池田さんが小学生の頃です。ただし、その当時はイタセンパラという認識はありませんでした。万尾川でフナ釣りをする少年にとって、イタセンパラはいわゆる「雑魚」のひとつだったからです。
地元の子どもたちの間では、フナ以外の小魚は「ベチョ」と呼ばれていました。にもかかわらず、イタセンパラは婚姻色に色づくきれいな魚だったため、「嫁さん」と呼ばれていたそうです。「嫁さん」という表現に、親しみや愛着が込められていたことが伺えます。
この「嫁さん」という魚がイタセンパラという貴重種であることがわかったのは、氷見で本格的なイタセンパラ調査のはじまった平成元年以降のことでした。
イタセンパラの生息する万尾川は、地元農家の田んぼの用排水路でもあります。したがって、万尾川の水位や川底に累積する砂の量にも気を配り、土手の草刈りは住民総出の「むら仕事」として取り組んできました。他の地域のように、土手をコンクリートの護岸に整備すれば、川に砂が流れ出すこともなく、土手の草刈りの負担も減るため、それを望む声もないわけではありません。
しかしながら、上久津呂地区としては、「イタセンパラと共存共栄せならなん」という気持ちだといいます。
たしかに「迷惑なこともあるし、手間もかかるけど、上久津呂地区としては、イタセンパラの住んどる地区として大事にしていきたい」と語ります。上久津呂地区では、イタセンパラの生息する地区として地域の活性化に取り組む意向を持っているのです。
このように人びとの暮らしの場に息づいたイタセンパラの生息地は日本でも上久津呂地区だけです。
地元の農家さんに大切に愛でられてきたイタセンパラをそっと覗いてみませんか?
イタセンパラの産卵の様子です。イタセンパラは川底に生息する二枚貝のなかに産卵します。32秒あたりの映像では産卵するための管を二枚貝に差し込む様子を確認できます。万尾川という自然下での産卵シーンの撮影に成功した貴重な映像です。
Q2:上久津呂地区の
万尾川にイタセンパラが
生息できた理由とは?
農業と人びとの
暮らしがあったから
イタセンパラの
保護池をつくったから
正解 A の解説:田んぼの用排水路である万尾川には、イタセンパラの餌となるプランクトンが豊富に流れだしていたり、農業の用排水にあわせた水位の変化がイタセンパラの生育環境に適していたからです。
つまり、地元の農業と人びとの暮らしがイタセンパラの生育環境を守ってきたのです。
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近年、“アクアツーリズム”と呼ばれる水をテーマにした新しい観光が注目されています。各地の動向を探ってみると、湧き水や井戸など水とともにある地元の暮らしをめぐる旅が多くみられます。
アクアツーリズムは従来のように観光名所をめぐるようなマスツーリズムとは違って、その地域の水資源と生活文化に焦点をあてることが特徴です。
氷見イタセンパラアクアツーリズムは、天然記念物であるイタセンパラの生態や生育環境の理解を通じて、氷見の農業や人びとの暮らしの豊かさを再認識することを目指した新しいツーリズムです。
十二町潟水郷公園では秋に婚姻色のあらわれたイタセンパラを陸上から観察することができます。
Q3:アクアツーリズムとは
水と□□□をめぐる
旅でしょうか?
水と観光名所
水と暮らし
正解 B の解説:アクアツーリズムは「水と暮らし」をめぐる新しい観光実践です。氷見イタセンパラアクアツーリズムを通じて、イタセンパラの生態と氷見のお米づくりとのかかわりや氷見の暮らしの豊かさを学んでいただけたことでしょう。水を切り口に私たちの暮らしや地域を見つめ直してみると新たな発見があるかもしれません。
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氷見の農業を守ることがイタセンパラの生育環境の保全につながります。
イタセンパラの保護活動に参加できる守り人登録制度があります。守り人にはピンバッジをお渡しします。
氷見市ふるさと応援寄付金(ふるさと納税)では寄付金の使い道に「豊かな自然環境及び美しい地域景観の保全(天然記念物イタセンパラなどの保護)」をお選びいただけます。お礼の品には、大人気の「氷見の寒ブリ」などがあります。
「#氷見イタセンパラアクアツーリズム」をつけて SNSに投稿して仲間をみつけよう。
運営主体:ひみラボ⽔族館
(NPO法⼈Bioクラブ)
富⼭県氷⾒市惣領1927
協⼒:氷⾒市
企画・監修:
法政⼤学野⽥岳仁研究室
SpecialThanks
音声ガイド:緑川光